東京アンドロイドに珈琲を。

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ドトールは売上を回復させるために何をすべきか?

ドトールの各月売上が減少しています。
月によって減少率は異なりますが、前年同期比約2%程度ずつ減少しています。

なぜ売上が減少しているのでしょうか?
ドトールの売上の因子は①単価、②1店舗1日当たり来店者数、③店舗数、④営業日です。

来店者が注文するのはコーヒー単品か、フードとのセットと考えられ、①がコンスタントに下落するほど消費者行動に変化は無いでしょう。また、店舗改装に伴い営業日数が減少することはありますが、全国的に毎月2%程のインパクトがある大規模改修は行われていないように思います。店舗を毎月閉鎖しているとも思えません。客足が遠のいたことが売上の減少を引き起こしていると考えられます。

なぜ客数が減少したのでしょうか?
3つ考えられます。
コンビニコーヒーの普及
セブンカフェなどコンビニコーヒーが普及した結果、客をとられた可能性があります。店舗内にイートインコーナーが設置されている店舗が増えてきています。駅前出店の多いドトールから、同じような出店を行い、より安価に提供しているコンビニコーヒーへ客をとられた可能性があります。一方で元々コンビニで缶コーヒーが販売されていましたから、コンビニで缶コーヒーを購入する数が減りコンビニコーヒーを購入する人が増えただけかもしれません。そう考えるとインパクトは小さいとも考えられます。(むしろ喫茶店需要を増やす補完材的役割を果たしているかもしれません。)

スターバックスタリーズなど他店への流出
スターバックスはオシャレなブランドイメージやフラペチーノといったオリジナルメニューで女性客を中心に受け入れられていると考えられます。
タリーズも女性に受け入れられやすいドリンクが多いですし、パスタ、フレンチトーストなどのフードメニューが充実しているため顧客の取り込みと単価の増加を実現しているのではないでしょうか。
一方でドトールのドリンクはブロンドシャコラ・ラテや豆乳ラテなどはあるものの全体的にオーソドックスなラインナップです。また味はしっかりしているものの、フードメニューはバラエティに乏しい。「安くて品質のよいコーヒー」をコンセプトに提供してきましたが、競合のサービス拡充の中でチープなイメージの喫茶店となってしまっているのかもしれません。

③サードウェーブの普及
コメダ珈琲など高級志向のサードウェーブ店が普及した結果、客数を減らしています。コンビニコーヒーの普及でコーヒーの裾野が広がった上、可処分所得が増加した結果、価格センシティビティが下がり、高級志向が進んでいます。こうしたサードウェーブ店は広い店内とラグジュアリーな空間を作るため、駅前出店は難しく、ドトールと競争が発生しにくいように思えますが、「中高年女性の団体客」がサードウェーブへ流れていってしまったのではないでしょうか。実際、ドトールは1人客が9割、2~3名の団体客が1割といった印象です。安価で親しみやすいドトールへ来店していた団体客が、ランチ時間帯~アフタヌーンティーの時間帯にかけてサードウェーブ店へ流れていってしまったと考えられます。

ドトールは売上を増加させるために何をすべきでしょうか?
①新メニューの開発
春夏秋冬の4シーズンで新メニューを投入しているかと思いますが、スターバックスでは1~2ヵ月で新メニューを投入しています。飲食業のライフサイクルは2~3年と言われ、新メニュー開発、新キャンペーンにより顧客を飽きさせない工夫が必要です。価格優位性が失われた結果、「浮動層」が増加しているため新メニュー開発による浮動層の取り込みが必要ではないでしょうか。
新メニュー開発はマクドナルドが参考になります。マクドナルドでは、「超グラコロと濃グラコロ」、「チーチーダブチとチーチーてりやき」と言ったように食べ比べを狙った新メニューを開発しています。ミラノサンドといった食べ比べができるメニューが限られているため、食べ比べ・飲み比べができるメニューを投入することで、浮動層を取り込みます。

②他ブランドとの共同企画
スターバックスと比較するとチープなイメージは拭えません。一方で安易な高級路線はすべきではないと思います。ドトールの強みは安くて便利な立地、親しみやすいといった点です。既に行っているように星乃珈琲といったマルチブランド戦略で高級路線志向の店舗を出店しグループとしての売上を確保すべきでしょう。安さを維持しつつ、他ブランドと共同企画を行うことでイメージアップを図ります。例えばミスタードーナッツでは、老舗洋食レストラン「函館・五島軒」とコラボレーションし、「ホット・セイボリーパイ イギリス風カレー」「ホット・セイボリーパイ デミグラスハンバーグ」といった商品を投入しています。ドトールミラノサンド、朝カフェセットなど、その場で簡単な調理を行うことでフードメニューを提供していますが、提供時間が2~3分かかるため、混雑時間帯ではレジ待ちが発生してしまいます。ドーナッツやパイ、スコーンといった作りおきできる商品でコラボレーションしてはどうでしょうか。